おだやかピクセル

ゲーム(ウディタ)・ドット絵(EDGE)・ゲーム音楽(Studio One)など。愛あふれるレビューも。

【感想2】やすらぎのオーケストラ。カービィ25周年コンサート(4/16東京昼)

「星のカービィ25周年記念オーケストラコンサート」の感想 Part 2(プログラム1~3)です。

 

〈※ネタバレ注意〉

 

本記事は、前記事のつづきです。前記事(Part 1)はこちら。

htwmc.hateblo.jp

 

1 星のカービィ25周年 グランドオープニング

満を持して始まった演奏。

一曲目は、「星のカービィ25周年 グランドオープニング」。

 

まず、初代『星のカービィ』より、「タイトル」のフレーズが演奏されました。大胆な編曲でした。出だしはファンファーレ風で、いかにも“開幕”、“はじまり”という言葉にふさわしいアレンジ(正しい言い方かどうかわかりませんが、すぎやまこういち氏の紡ぐ音楽に近いものを感じました)。出だしの音は、勇ましく、しかし音が大きすぎるということもなく。このあとの2時間半、どんな演奏がおこなわれるかを期待させるような曲で、私は静かな高揚へといざなわれました。

 

つづいて「グリーングリーンズ」。「カービィBGMといえばコレ」の、はじめのステージ曲です。初代のゲーム発売から25年経った今でも、カービィ世界の根底で脈々と流れつづけ、最新作でもバリバリ活躍している楽曲。

きちんと、初代のステージイントロのメロディから演奏がスタート。カービィ一番の代表曲の演奏によって、いよいよカービィのコンサートが、現実のものになったんだなぁと、感慨深く。涙腺が緩みました。

 

ステージ上のスクリーンには、歴代カービィゲームのプレイ映像が映し出されていました。この映像、ポイント高かったです。カービィの25年の歴史を改めて実感できて。カービィと草原との親和性は高いですね。原っぱが似合います(このあとスクリーンには、各演奏プログラム曲に合ったゲームプレイ映像が、その都度、流れることになります)。

 

グリーングリーンズのオーケストラアレンジとしては、大乱闘スマッシュブラザーズDXのものが最も有名だと思いますが、またそれとは趣が異なり、情緒豊かな印象だった記憶があります。

 

オーケストラ演奏の人数は、自分の想像よりは少なめでした。

演奏人数については、パンフレットにて意図が説明されています。今回カービィのサウンドを演奏するにあたり、“ピシッとキレの良い音”でいきたかったそう。演奏人数が多いと迫力は増すけれども音圧がボヤけることがあるので、シャープさを優先し、ギリギリの人数構成にしたとのことでした。少数精鋭にしたのには、こんな理由があったんですね。

MCタイム1

一曲目終了の後、MCの楪さんが登場。つづいて、古川さんも登場。

思い出に残っているカービィのゲームとして、古川さんは『スーパーデラックス(特に洞窟大作戦)』を、楪さんは『ピンボール』を挙げていました。

今回のコンサート中の、曲と曲の間のMCタイムでは、ほぼ毎回このお二人が登場していました。登場しなかったのは一回だけだったはずです。 MCのお二人は、終始、演奏された曲の感想やカービィの思い出話をきゃっきゃきゃっきゃと言い合ったり、ゲストのトークに驚き笑ったりするなど、観客と同じ目線でいらっしゃったのが印象的でした。

2 星のカービィ 夢の泉の物語メドレー 

二曲目は、「星のカービィ 夢の泉の物語メドレー」。 

 

はじめのパートは「LEVEL8の最初」。出だしの木管楽器でぞくぞくしました。夢の泉のデデデを倒したムービーシーンの曲ですね。短いのにすごく耳に残るあの名曲が、綺麗なオーケストラになって。最高の導入でした。

 

「雲の面」。グレープガーデンの曲。あのメロディがストリングスで生演奏されるわけで、それはそれは美しく、これもぞくっとしました。

 

「海中の面」。オレンジオーシャンの、あの夕暮れどきの哀愁ある孤高のさびしさと、トランペットの音色がぴったりでした。

 

「エンディング」。ここの照明の演出が、特筆事項で。「紫色の空に浮かぶ、白いお星さま」といった趣の照明が、ステージ上の壁全面に広がり、幻想的な光景が現れたのです。言うなれば、ボスキャラの「ナイトメアーズパワーオーブ」の模様に似ていて。とっても良くて感動しました。

スクリーンの夢の泉エンディング映像を見て、カービィは星空も似合うなぁと改めて感じました(草原も星空も同じように似合うキャラクターって、けっこう珍しいのではないでしょうか)。

 

郷愁感あふれるメドレー。三回は涙腺が緩みましたね。

MCタイム2 

楪さんの紹介で、桜井政博さんと熊崎信也さんが壇上に上がりました。

 

熊崎信也さんは、近年のカービィゲームその他もろもろをまとめるゼネラルディレクター。ゲーム内の熱い演出や深い世界設定で、今やカービィになくてはならない人物です。

そんな熊崎さんが壇上に上がるというアナウンスは事前になかったので、うれしいサプライズ登場でした。こういう公の場に登場するのは初めてなのではないでしょうか。

 

桜井政博さんは、安定のいいお声、そして安定の若々しさでしたね。

 

それにしても、桜井さんと熊崎さんが一同に介するだなんて。こういう機会でないと見られない素晴らしいクリエイター同士の貴重なツーショットを拝めて、うれしい思いでした。そういえば、おふたりとも服が結構似ていましたね。

 

ここでおふたりから語られたのは、カービィサウンドで大切にしていることについて。

 

桜井さんは、曲の最初と最後を大切にしていると語っていました。ステージデモのイントロからはじまり、最後はカービィダンスで締めるということですね。また、カービィのメロディとして、子供が口ずさめるようにするようなものをオーダーしているとのお話も。


一方の熊崎さんは、ボス戦BGMと、ボスのHPゲージバーがのびる「ピピピピピ……(テレテレテレテレ……)」というSEとを、ピッタリ気持ちよく感じられるようなタイミング合わせをしているというエピソードを披露。こういう、何気なくプレイしていたらわからない、プレイヤーに意識させないこだわりって、すごく好きです。そういうものをクリエイトするのって、難しいですよね。

熊崎さんは熱くボス戦BGMを「タラッタッタラッタッ……」というふうに口ずさみながら、身ぶり手ぶり、体を大きくつかって説明されていました。それも、『トリプルデラックス』、『スーパーデラックス』、『星のカービィWii』と三種類の各ボス戦BGMを。

3 デデデ大王メタナイト・タッグメドレー 

カービィには欠かせないレギュラーキャラクター、デデデ大王メタナイトに関する楽曲のメドレーです。プログラム名の「タッグ」という言葉が、なんだか妙にうれしく感じます。

 

まず、初代『星のカービィ』より、「Mt.DeDeDe」(マウント・デデデ)。正調デデデ大王のテーマです。正統派のアレンジだったように思います。演奏がすごく短く感じたのは、初代からの選曲だからですね。『スーパーデラックス』以降、現在となってはおなじみのフレーズが追加されたわけですから。

 

つづいて『ウルトラスーパーデラックス』より、「マスクド・デデデ」。これもありがたい選曲です。

 

この二曲とも、迫力と熱さがあり、しかしゆったり親しみやすいというような、なんだかデデデの人柄をよくあらわしたような編曲で、好みでした。


そして、メタナイトパート。
『スーパーデラックス』より、「戦艦ハルバード:甲板」ですよ。個人的にこの元曲は、全カービィ楽曲のなかでもトップクラスに好きです。

編曲は、ゆったりシリアス、かつ、ひしひしと熱い感じ。ここでも涙腺が緩みました。

スクリーンには、『スーパーデラックス』の「メタナイトの逆襲」チャプター4、甲板でのメタ・ナイツ戦の様子等が流れていました。


戦艦ハルバード:艦内」。先程の曲よりも熱さがより増した感じですね。いい繋ぎ、いい流れです。

ここのスクリーンでは、ばっちりチャプター7の「すまない……」が流れていて。ほんと、わかっていらっしゃる(個人的な思い出深さ的に、スクリーン映像が『ウルトラスーパーデラックス』でなく『スーパーデラックス』だったのも、ポイント高かったです)。


「友と夕陽と… 」。「メタナイトの逆襲」の渋いエンディング曲。ワンフレーズだけでしたが、たったこれだけの音で、あの夕日のハードボイルドな世界観に一気に引き込まれてしまいます。トランペットはちょっと失敗しちゃっていましたけれど、あの泣きのメロディは、インパクトありましたね。

 

プログラム4曲目以降は、次回の記事で。

(……Part 3へ続きます。↓からどうぞ)

htwmc.hateblo.jp